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長野地方裁判所 昭和61年(わ)184号 判決

本店所在地

長野県伊那市大字伊那五一七九番地

株式会社赤玉

(右代表取締役 冨田均 右同 冨田伸)

本籍

愛知県尾張旭市印場元町北島三九八〇番地

住居

長野県伊那市大字伊那六二三三番地の二

会社役員

冨田均

昭和五年八月一八日生

右の者に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官吉田博視出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

1  被告人有限会社赤玉を罰金一二〇〇万円に、被告人冨田均を懲役一年にそれぞれ処する。

2  被告人冨田均に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社赤玉(以下、「被告会社」という。)は、長野県伊那市大字伊那五一七九番地に本店を置き、遊技場の経営を目的とする資本金二〇〇万円の法人であり、被告人冨田均は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人冨田は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して借名の簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和五六年一〇月一日から同五七年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五二九二万一二〇三円あったにもかかわらず、同五七年一一月三〇日、前同市西町三五四五番地の一所在の所轄伊那税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九四四万六七〇三円であり、これに対する法人税額が三〇〇万七三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二一二六万六八〇〇円と右申告税額との差額一八二五万九五〇〇円を免れ、

第二  昭和五七年一〇月一日から同五八年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九七九六万二七六八円あったにもかかわらず同五八年一一月三〇日、前記伊那税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二三〇九万七一九七円であり、これに対する法人税額が八七四万万七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額四〇一八万四〇〇〇円と右申告税額との差額三一四四万三三〇〇円を免れ、

第三  昭和五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四一〇七万六八六八円あったにもかかわらず、同五九年一一月三〇日、前記伊那税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二二一七万二九七円であり、これに対する法人税額が八一〇万二二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一六二四万八六〇〇円の右申告税額との差額八一四万六四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人冨田の

1  当公判廷における供述

2  検察官に対する各供述調書(二通)

3  収税官吏に対する各質問てん末書(一八通)

一、冨田さき子の検察官に対する供述調書

一、冨田さき子(一一通)、西沢晴夫、谷口菊枝、恩地ゆきゑ、小沢正明、湯澤廣雄(二通)、早川義明の収税官吏に対する各質問てん末書

一、収税官吏作成の告発書、脱税額計算書(三通)及び各調査書(一八通)

一、伊那税務署長作成の昭和六〇年五月一五日付証明書

一  登記官作成の商業登記簿謄本

(法令の適用)

被告人冨田の判示所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、各所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

次に、被告人冨田の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同法一五九条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一二〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 尾崎俊信)

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